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井伊美術館での日々


 日本のみならず世界にのこる甲冑武具に興味をもち、あわせて出身地彦根藩井伊家の武具、軍制、文書記録等の採集調査に係っていつのまにか半世紀をこえました。これらの成果の一斑を公開するため、京都に戦陣武具資料館を設けたのが既に30年前、これが井伊美術館となってもう16年(平成27年現在)、早いものです。こうしてひとつの事を続けて来られたのも、神仏の御加護以外何ものでもないと思います。古色蒼然たる表現といわれるかも知れませんが、まことに天祐神助だと思います。感謝することしきりであります。現在古希に加えて2年ですが、これまで同様、変わらず歴史的に重要な甲冑武具や古文書資料をみつけ、世に紹介して、旺盛に古文化の探究活動を続けたいと願っています。

 近年は、大老井伊直弼の公私面にわたる新知見に関して、メディアからの取材を受ける機会が多くなりました。これまた50年来史料採集を重ね続け、その伝記(『雪の朝に向って』抄録は
こちら)をまとめはじめた私にとって、実に時宜を得たことと思います。今頃になって執筆とは少し遅きにすぎる身のふり方ですが、できる限り真にちかい直弼像をものするには、速成は禁物だと思っています。一見怠惰に似た無駄な時間も、爛熟には必要なのではないかと、おのれのおくてなさまを手前勝手に言い訳して納得しています。しかし一方に、いくら時間をかけても熟成度数の上らないものがある。ただ仕込量が多いだけの酒樽もあるという厳しい現実があるということを忘れてはなりますまい、と思っています。

 ヨロイカブトやカタナ、それにゆかりの深いわが井伊家の歴史などに取り憑いて久しくなりました。もはや離れることはかないません。仕事は地味で孤独な作業ですが、今後もやめることはないでしょう。時勢に阿諛せず、世間に迎合せず、不器用な「狷介不羈庵」の独歩です。この姿勢を理解し展覧会等に応援協力して下さる蒐集家、所蔵家が増え続けていることも、有難いことです。 
 開館以来常に問題意識をもって特別展を開いていますが、毎年、これが最後の催しだと覚悟してやっています。どこまで行けるか、それもこれも全て「任運」、天命をうけるのみというところでしょうか。釣竿で海の深さを探りつづけます。

平成二十七年六陽
井伊 達夫識

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井伊美術館
平成28年特別展 
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旧称/中村甲刀修史館
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甲冑刀剣考証専門美術館 SAMURAI ART BUSHIDO
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井伊直弼達磨画讃
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井伊直虎特別コーナー
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◆鎧の着用体験
執筆著書紹介
■平成27年分
平成25年分
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■平成28年分
長野主膳居宅「桃廼舎」古材
◆貴重資料紹介
◆『公用方秘録』
 
(大老直弼の重要政務要録)について

変り型唐冠形兜(長曽祢利宗作・奥平家伝来)/伝真田信繁所用兜/
伝真田信幸所用具足/竹中半兵衛所用刀/浅井長政所用兜/
井伊直政懐中の秘剣/井伊直政自筆条書/志津短刀袋と直政自筆条書入れの袋/
黒田如水愛刀/井伊直元愛玩子供具足/
桜田門外の変 井伊家供頭 日下部三郎右衛門の佩刀

平成26年分
◆井伊館長講演報告

唐の頭(彦根井伊家伝来)/太閤轡(伝・宇喜多秀家拝伝)
織田信長朱印状(黒田勘兵衛孝高宛)/井伊直弼自筆艶書
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朱地金井の字背負旗/
徳川秀忠宣旨/鏡轡/水戸斉昭自製の筝/
黒田長政・徳永寿昌他連署状/明智光秀書状/
織田信長黒印状(徳川家康宛)/豊臣氏母子遊宴図屏風/
名古屋隼人絵姿図/徳川秀忠自画讃/石田三成佐和山城図屏風

井伊直虎念持観音
大天衝輝く代表的な井伊家当主の甲冑

鎧兜にまつわる誤った権威伝承、架構の伝来等、長い年月の間に訂正不能となっているものがあります。これら歴史ロマンの中に隠された真実にふみこみ、思い切ったメスを振るいます。著者ならではの記念的著作です。
四六判サイズ288ページ 1800円(税抜)
(2016/1/12)

aNEW新刊 1月11日より発売中!

井伊直政神像
愛宕山仙琳寺義空の造顕銘があります。



今、はじめて明かされる 井伊直弼の実像
人間
 井伊直弼史記
―雪の朝に向って―(仮)
直弼観察半世紀の執念をここに



出版予告
夢冑幻甲譚 HP掲載
本稿は近日刊行予定の『甲冑裏話』(仮題)に入れる予定でした。しかし、昭和六十年代以来の思いつくまま気のむくままの五月雨執筆でさらに現在も継続中という面倒くさい状況があって、収録作品から外し、HPに掲出することにしました。「夢冑幻甲譚」とは小むつかしいタイトルですが、ふりかえれば。まさに夢幻のごときヨロイカブトとの出会い、付合い、もろもろです。そして私の人生もまたまさに夢中の日々。それが只今も続いている。続けさせてもらっているー。そんな感謝の思いも泌々と感じる此頃です。やくたいもない昔話で恐縮ですが・・・。


掲載予告

井伊達夫甲冑研究半世紀の精華
「戦国甲冑うらばなし」
甲冑ファン必見!
<抄録を一部掲載>
詳しくはこちらをクリック
彦根城用材百万供養塔
彦根城天守閣改修時の古材をもって造られたもので、彦根城築城時における事故死者及びひろく井伊家ゆかりの死者の菩提を弔するため造立されたもの。

aNEW 上下二巻に分刊。上巻は直弼伝記の虚実から。青年直弼の刻苦精励、信仰そしてたか女との問題等を新資料を駆使して描きます。
−上巻平成28年秋刊行予定−
<抄録の転載は以上をもって終了致します。「仏道参究」その他加稿の後、本年秋頃には上梓の予定です。御期待下さい。>
(2016/3/6)