開催にあたって

 古来から赤の色は吉祥繁栄のシンボルカラーとされてきました。
武士のはじまりといわれる平氏が旗幟に赤色を用いたのもその典型的なあらわれです。
 更に「赤」は降魔、除災、避難、等あらゆる凶事に対抗する吉慶色として強力な働きをする
ようになり、戦国の勇士はこれを自己の顕示と守護の色として用いるようになったのです。
 赤装甲冑―いわゆる赤具足―は勇武と栄進のシンボル。矢玉の中を臆せず、ひたすら前進する
者にのみ許された栄誉のシンボルカラーだったです。

 この至極目立つ色柄の鎧を着用する者は、ある意味、一歩でも退いたら「さむらい」を捨てる
ほどの覚悟がなければならなかった―
「ひたすらの男道」を貫くための矜持です。桃山の華やかな色合いの裏には、義務的に課せられ
た死に狂いの実相があったわけです。
 見せかけの奉平に安座し「乱」の時代を忘れ去った我々はかつての勇士の人生の「仕舞口」の
覚悟を一度直視してみるのも大切ではないでしょうか。

 一息截断
(いっそくせつだん)を身命に秘め、表面はあくまで洒々落々の日々に韜晦した桃山の武将
前田慶次郎の朱具足(泉鏡花旧蔵、石川県博出展以来18年ぶりの公開)をはじめ、北条氏ゆかりの
朱具足、そしてご存知井伊家藩主の朱具足など、限られたスペースですが赤鎧を満杯にしてみま
した。常設部ではオールドスタイルの大鎧を、そして時代の比較のため金色絢爛の南蛮胴具足も
合わせて展示します。

     平成二十六年孟春
            
古兵部少輔歴代、掃部頭歴代のあとを偲びつつ
                    
朱 鬼 舎      井伊 達夫
                      
 
  

平成8年石川県立歴史博物館での特別展以来18年ぶりの公開となります。
(外部調査預託品)
(外部調査預託品)
井伊直孝所用
紺糸威桶側胴朱具足
(印具治重拝領)
      (外部調査預託品)
紺糸威白総髪朱塗兜 
前田慶次郎所用
紅糸威二枚胴赤具足(赤頭形兜付)
-泉鏡花旧蔵-

鎧櫃蓋裏に所用者を記した泉鏡花珍蔵の旨の箱書があり、石川県立歴史博物館での特別展の際に当時の学芸専門員長谷川孝徳氏(現北陸大学教授)が泉鏡花研究で知られる金沢学院大学教授(現学長)秋山稔氏に調査を依頼した結果、この筆跡は鏡花の真筆と鑑定されたものです。
あかおにのや
すきしゃ
【会期】
 平成26年2月1日(土)~11月15日(土)
孔雀後立付朱塗越中頭形兜
       
(外部調査預託品)
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平成26年度 特別展
伝・井伊直惟所用
紺糸威二枚胴赤具足
(天衝大脇立白毛頭立兜付)
      (外部調査預託品)