今年のNHK大河ドラマ「平清盛」にちなみ、日本甲冑の典型とされる大鎧を種々展示致します。
 
  
                  
平成二十四年度
同時併催 

 大鎧という、いかにも豪壮で華やかな甲冑が登場したのはごくおおまかにいって平安時代とされています。その美の完成には大分の時間を費やした筈ですが、甲冑の代表形式というものは、もうこの時代既に完成されてしまっているのだからおそろしい。
 後続してあらわれる数々の甲冑形態は全てもうつけ足りであるといっていい程、用に於いても美に於いても完璧です。馬上専用に造られてあるから、こせこせしない大らかなゆとりがあります。栴檀鳩尾両板のアンシメトリーも素晴らしい不均衡の美で、このアンバランスは実用に素直に従った不純物のない精神のあらわれです。これほど正直な美の典型は他にありません。胴の周囲を全て一囲せず、四方の内の一面を別附けする合理的な不整合。楯の代りになる大袖、そしてシコロの左右を出張らして大きく返す顔面防禦の太々しさ。これらには何ものにもとらわれない原始の防禦設備の専一的な勁直を感じさせます。
 ここに悪源太をおき鎮西の八郎をみて、目を閉じると瞼の裏はるか乱れ雁と桜花芬々に見えかくれする八幡太郎の姿が現前します。遙か平安・鎌倉の昔の雄叫びの一人になりたい、後世ひとかどのもののふたちがひとしなみに懐いた熱血の夢は形を変えて今も生きている筈です。

 


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源平の精粋
小野田光彦作 御嶽神社大鎧復原
大 鎧
(館蔵品)
紅裾濃腹巻
(個人蔵)
(個人蔵)
赤韋威大鎧
-尾張徳川家重臣大道寺家伝来-
(古作新装)


(個人蔵)
小桜威大鎧
-都城島津男爵家伝来-